映画と音楽62-僕はセンチになったよ

一般的には馴染み薄かもしれない、映画「ドーシー兄弟物語」"The Faburous Dorseys"(1947)、トロンボーンのトミー・ドーシーとクラリネット&サックスのジミー・ドーシー、本人たちが主演。
印象に残るのは兄弟仲の悪さ、実際にそうだったという二人がどういう気持ちで演じたのかと思う、ピアニストのアート・テイタムの演奏シーンは貴重だった。
トミー・ドーシーと言えば「僕はセンチになったよ」"I'm Getting Sentimeital Over You"が有名で、トロンボーンの魅惑のハイノートはプロでも難易度が高いそうだ。

 

北村さんと親交のあったクラリネット奏者バディ・デフランコさんは、若い頃ドーシー楽団に在籍した。
ツアー中に1週間の休みで全員散り散りに出かけ、戻った初日の演奏前に全員楽器のウォーミングアップをしていたが、ドーシーはトロンボーンに触ろうともしない。
ところが本番いきなり「僕はセンチに~」のハイノートを完璧に演奏するのを目の当たりにしたデフランコさん、北村さんに「あれは怪物だったね」と語ったそうだ。

当時クラシック演奏家も賞賛したというトロンボーン奏者のトミー・ドーシー、「センチメンタル・ジェントルマン」と呼ばれた。

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1940年代のドーシー楽団専属歌手が若きフランク・シナトラで、回想で語っていた、「トミーが長いフレーズを一息で吹くのに感心した私は、プールにもぐってロングブレスの練習をした」。