映画と音楽61-ジャズ映画花盛り「五つの銅貨」

映画「五つの銅貨」"The Five Pennies"(1959)、主演ダニー・ケイ
実在のコルネット奏者レッド・ニコルズの伝記、映画タイトルは彼のバンド名でメンバーに若きグレン・ミラーベニー・グッドマンなどがいた。
映画のコルネット吹き替えは本人。

 

1920年代、田舎から上京したレッドは知り合った仲間とハーレムのジャズクラブでサッチモルイ・アームストロング)の演奏に感激、ステージに上がり「リパブリック賛歌」ジャズアレンジを吹く。

女性歌手と結婚し娘が生まれ、各地ツアーで多忙になる。
5~6才になった娘とダニー・ケイサッチモが「五つの銅貨」「ラグタイムの子守歌」「グッドナイト・スリープタイト」を同時に重ねて歌うシーンがある。

 

小学4~5年頃NHKテレビで見て(今思えば日本公開からまだ5~6年だった)、この同時三重唱を曲芸を観るように驚いた。
これは違うメロディーでもコード進行が同じだから可能で、ダニー・ケイ実の妻シルヴィア・ファインが作詞作曲した。

ダニー・ケイのソフトな声、サッチモのだみ声(失礼!)、子供の高い声、この違いが同時であってもそれぞれのメロディーが際立つ見事さ。

 

娘が足の障害発祥し歩行困難となり、ツアー連続の演奏家をやめて家族に尽くす。
時が過ぎカムバック演奏会を迎え、サプライズでサッチモが「帰っておくれビルベイリー」で登場、リハビリ克服した娘が杖なしで父レッドに歩み寄る感動のラスト。
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30代後半だったか、トランペット&ヴォーカル名人の光井章夫さんと八王子市の映画愛好会に呼ばれ、ビデオインジェクターでこの映画鑑賞後に因んだ曲を演奏。
映画が終わって照明が明るくなると多くのお客様目頭を押さえ、光井さん「どうもこういうのは、いけねぇな」と鼻をすすりながらステージに、私も涙を指で拭ってピアノに座った。