このシリーズで登場した映画「カジノロワイヤル」(1967)と「北京の55日」に出演したデビッド・ニーブンという俳優、いかにも英国紳士の風格があり好きだった。
主演映画「80日間世界一周」(1958)、19世紀末の英国小説家ジュール・ベルヌ原作、80日間で世界一周を果たす賭けをしてロンドンを出発する物語。
気球、列車、船を駆使してでアメリカ、日本も訪れて鎌倉ロケでは大仏も、時代設定が19世紀末で着物に日本髪も不思議はないが、カットが変わって屋台通りになる途端に中国混合で奇妙、多分アメリカのスタジオで撮影されたのだろう。
ヴィクター・ヤング作曲のテーマ曲「世界一周」"Around The World"は優雅なワルツで、テレビ海外旅行番組で今も時折使用されるが、これをジャズっぽく歌ったのが英国歌手マット・モンロー。
兄が買ったレコードで「ロシアより愛を込めて」の後にヒットした「ウォーク・アウエイ」B面に収録されていた。
当時シングル盤はA面にヒット狙いでB面は記憶に残らない曲が常識だったが、「ロシア~」B面「007のテーマ」は両面ワンセット感あり、一方「ウォーク・アウエイ」B面のこの曲も私の記憶に残った。
小学生だったからジャズなんて意識もなく漠然と「カッコいいなぁ」だったと思うが、4ビートノリノリでスイングする歌唱は見事、このイメージが忘れられず弾き語るようになった。
毎月出演を頂いていたソロピアノの店でもよく弾き語って、若いスタッフ女性は映画も曲もご存知なかったが、覚えてカウンターからよくリクエストをくれた。
他の店でもお若いお客様「今の曲タイトルを教えて下さい」とスマホにメモされた。
曲を知る世代の反応は当然嬉しいが、全くご存知ない世代の反応は演奏家として伝えられた喜びが大きい。