カサブランカ

昨日、池袋「ばがぼんど」、初回はお客様まばらだったが、リクエストのメモに「CASABLANCAの曲」とあったので、
"As time goes by "(時の過ぎゆくままに)を弾き語りでお送りすると、奥の席から男性3人がピアノの脇の席に移動、かぶりつきで。
20代前半と思われる3人に「他に映画の音楽を」と言われて、「酒とバラの日々」「ムーンリバー」などお送りし、ステージを終えて話すと、「ムーンリバーは何となく聞いたことあるけど、他は知りませんでした。勉強しないとな」と互いに笑顔で。

As time goes byのリクエストはよく頂く。作曲から10年ほど後の映画「カサブランカ」に使われて有名になった。1942年の米国映画で、戦時下のナチ抵抗をラブロマンスに包んだ内容。
世代を超えて知られているが、日本での公開は戦後、北村英治さんの話によると
「あの映画のヒットで、似合うと似合わないに関わらずソフト(帽子)とトレンチコートを着る人が増えた」そうだ。

私が初めてこの映画を観たのは上京まもない19歳頃、当時在京の兄に誘われて名画座(低料金で往年の名画など上映)で「グレンミラー物語」と2本立てで見た。
この頃は歴史の知識も乏しかったので戦時下欧州の状況も理解出来ず、登場するジャズ曲もまだ知らなかったが、とにかくハンフリーボガードがカッコ良かったし、恋にまつわるこの曲も実に印象的だった。

欧米以外でも世界的に有名な映画だということを感じたのは、もう10年余り前に中国の北京で。
知人が連れてきた20代半ばの女性、日本語が流暢なので、
「ジャズという音楽は聴いたことがありますか?」
と聞くと、「映画のカサブランカでやっている音楽ですか?」と、意外な答え。
「あ、カサブランカ知ってるの?」
「ええ、テレビで何回も放映していますから」
この経験から、昨年の台北コンサートでも選曲し良い反応を得た。

初めてこの映画を見て40年過ぎた今、シーン各所に見るナチ批判と多くのスタンダード曲を知って、いっそう好きになった映画のひとつである。