当然のこと

先日、テナーサックスの右近茂くんから聞いたある大御所ドラマーの話。
 
ある日本人の若手トランペッターが米国の某有名音楽学校に学び、帰国して大御所ドラマーと共演することになった。
本番前に「聖者の行進」を入れようと言うと、若者「その曲の譜面ありますか?」と、大御所「バカもーん!君はアメリカで何勉強してきたんだ!」
 
言葉はきついが大御所に同感すると同時に驚く話である。
 
北村英治さんが1970年代に米国ジャズフェス出演中にディジー・ガレスピー(超有名トランペッター、1950年代前半、スイングからビパップへのスタイル変革先導者の一人)との出会い話。
 
30年ほど前、アメリカのジャズフェスで、サッチモルイ・アームストロング)に捧げるステージがあって、Struttin with Some Barbecue”を演奏することになった。

北村さんがディジーに、「(モダンスタイルの)あなたがサッチモの曲を演奏するのは意外ですね」と言ったら、目を丸くして、
「君ねぇ、ジャズクラリネット吹きでベニー・グッドマン知らない奴はいないだろ。ジャズトランペット吹きがサッチモ知らないでどうするんだい」
 
北村さん「ディジーに怒られちゃってさ。それが当然のことって教えられたね」
 
当然も時代で変わることはあるが、「聖者の行進」の譜面を見たこともなく演奏している私達には驚くべき話だ。

さて、本日は、横浜「バーバーバー」で、男性ヴォーカル西村協さんのライブ。
トリオの面々は、ベース山口雄三氏、ドラム原田俊太郎氏。

歌の選曲は打ち合わせない、トリオ演奏2曲後に協さんステージに登場と同時に譜面を出して説明ない、リズムその他を聞く間もない。
ないない尽くしで何事もなく進行するのは、ベテラン演奏家諸氏による当然のこと。