低音の魅力3-低音の携帯

温泉街で育って小4の頃、知り合いの旅館に遊びに行った。

昼下がり、お客のいないラウンジにジュークボックスが置いてあって、好きな曲を聴いていいよと10円(だったかな?)を投入してくれた。

曲目リストから「パラダイス・ア・ゴーゴー(ベンチャーズ)」のボタンを押す、機械が自動でレコードを選んで音が出るまで何秒か、家でも同じレコードを聴いていたが、音が出た瞬間の大きな音量と低音の響きは刺激的だった。

 

中学に上がってギターに夢中になり、我が家にステレオが登場してやっと低音が身近になった。

高校になるとロックバンドでベース(エレクトリック)を弾くことになり、アマチュアながらバンドマネージャーがいて、定期出演の店や街のイベントなどで演奏。

1973年、金沢市で開催された「日本海博」(にほんかいはく)の音楽フェスで前座出演することになった。

大規模イベントの野外ステージ、楽器だけ持参すれば良いとのことでお借りしたアンプが「フェンダー・ベースマン100」、かなり高価でかなりデカい超一級品、豊かな低音に感動した。

 

この頃既にジャズへの興味が増して、ピアノへの欲求が急速に高まって卒業後に上京。この時母が持たせてくれたのが新製品の「ラジカセ」だった。

それまで携帯可能な音響製品と言えば薄っぺらな音が常識だったが、「低音」も持ち運べる時代になった。