冷たい4-北京胡同

 私が中国を訪れた2000年からの数年は急速な経済発展で、街に残る歴史的風景も一つまた一つと消えゆく時代だった。

北京の「胡同」(フートン)もその一つで、古い街並みと車の入れない細い路地に残る庶民の暮らしは風情があり、2003年初夏に「鐘楼」を、2004年の2月に「后海」(ホウハイ)を訪れた。

当時地下鉄は2路線のみで環状2号線「鼓楼大街駅」から歩いて15分、人口湖「后海」は全面凍結していた。

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湖畔に古い建物を利用したカフェもあり、家内と散策していると輪タクが寄って来て「乗りませんか」。

断ったが「安くしますよ」と後をついて来る、冬枯れで我々の他に観光客もおらず人の良さそうな青年だったので「四合院の中を見せてもらえたら」と言うと「OK」、時間と値段交渉して乗った。

足に毛布をかけてくれて走り出すとゆっくりと心地よい速度で寒くなかった。

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四合院」は伝統的住居で観光客の訪問も可能とは聞いていたが、予期せぬまさかの行き当たりばったり旅。

数分ほど走って古い家の前で停車、青年が時代経た木の扉をドンドン叩いて「いますかー、観光客を連れて来たよー!」と言うと少しの間があって中から声がして扉が開いた。 

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扉前の輪タクの青年。春節旧正月)後で新しい春聯(しゅんれん)が貼ってある。

2004年2月10日午後