言葉16-お子様

80年代半ばのジャズはフュージョン全盛、ピアニストはシンセサイザーなど電気楽器もこなして当然のような風潮もあった。

私も「ロミ&ジョーカーズ」で当時発売された「ヤマハDX‐7」を購入してライブで1年近く使ってみたが性に合わず、ひたすら生ピアノのみでお古いスイング。

30歳そこそこにして時代に乗れてないのかという悩みも抱く中、亜土さんの言葉に背中を押された。

「高浜ちゃんのピアノっていいわぁ。みんな新しいことやりたがるけど、私の歌に合わなかったりするのよね」

亜土さんの古典的なスイングやディキシーの好みは、世間的イメージからは意外だった。

 

世間的にはポップなアニメソングやNHK「みんなの歌」などのお子様ソングの歌手として知られているので、当然その依頼もある。

「ジャズじゃないけどお願い出来る?」、ジャズ以外には一切演奏したくないピアニストもいるからの気遣いだったが、私は抵抗なく引き受けた。

 

お子様ショーが最初どこだったか記憶ないが、これまで各地様々なイベントにご一緒した。

5~8歳くらいの子供を何人かステージに上げ、簡単なフリを教えて「じゃ、いくわよー!」で、「ハメハメハ大王」「大きな栗の木の下で」など、大きな紙にイラストを描きながら、亜土さんも楽しんで子供たちも楽しんで、こちらも楽くないわけがない。

あの頃ステージで踊った子供たちも今は親世代。

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