台本7-バーチャル体験

この舞台に描かれるジャズ演奏家は、実際私が若手の頃に40~50代で共演、リアルな体験談はまるで映画のような非日常感、タイムスリップで覗いてみたい思いに駆られた。
その時代のピアニストを演じることは正にバーチャル体験であり、台本に書かれた諸所のシーンが先輩の話に重なった。

 

舞台は米軍キャンプの厨房兼楽屋、ステージから漏れ聞こえる演奏は私の録音が流され、演奏終了し楽屋に引き上げてまかないを食べるシーン。

ハンバーグとコーラ、一般大衆が食うや食わずの時代にあっていかに特別なことか。

とは言え、制作スタッフが用意するレトルトハンバーグを昼夜毎日食べるのは辛い、舞台監督に相談すると「一口かじって後はふりでいい」、竹花くん共々ほっと胸をなでおろした。
ところが俳優さんは毎回平らげお一人はコーラ一気飲み、これを3か月間毎日の役者魂。
一口かじりの私とて芝居の後しばらくハンバーグ食べなかった。


マチネ(昼)とソワレ(夜)2回公演の日が多く、その間4時間ほど空く。
バンド仕事だと大抵食事とコーヒーで談笑して過ごすが、俳優さんたちは一旦休んだ後ジャージ姿で舞台でストレッチと発声など。舞台では日常より大袈裟で機敏な動作が必要だからか。
私はストレッチなど普段しないのでピアノと発声練習、この頃弾き語りはかくし芸程度だったが上の音域が少し広がった。