昨日からの続き。
「ちょっと来い」と言われバンマスに付いて店の外に、バンドユニフォーム姿で歓楽街を歩き路地を曲がった居酒屋に。
カウンターに座ると、バンマス「あと一回ステージある、大丈夫なら飲むか」
はいと頷くと、「チューハイ飲んだことあるか?、え、ない、じゃ小さいので」と注文。
グラスを傾けしばし沈黙の後、
バ「お前、俺が説教が嫌にならないのか」
私「それは私が弾けないからで・・・」
私が初仕事だったホテルのバンマスとフルバンド時代に知り合ったそうで、その紹介で来た私。
バ「最初使えない奴をよこしたと恨んだけど、お前も随分覚えたな。
こういうとこの演奏は慣れりゃぁなんとかなるけど、ジャズってなぁ難しいもんだ。
お前この先もこれで生きていくのか」
私「そのつもりです」
バ「俺みたいな口うるさいのは他にゃいないだろう、ここで覚えておけば他でも仕事が出来るさ」
バンマス飲み代を払い「店に戻るぞ」
忘れられぬ昭和人情のひとこま。
ここでダンス音楽などノウハウを覚え多くの仕事をこなした。
しかし数年ほどの間にカラオケやディスコなどの流行により、生演奏の場は急速に減少、全国的に多くのバンドマンが転職。
演奏技量がないと生きていけないと痛感する20代半ばの私だった。