メディアと音楽

私は昭和30年生まれでダッコちゃんやロカビリーブームを覚えているが、流行歌「アカシアの雨がやむとき」が5歳頃のある風景と共に焼き付いている。

当時7歳上の兄が肺の病で隣町に入院し、時々祖母に連られて見舞いに行った。

病室には母が居てトランジスタラジオでこの歌が流れ、その物憂げな歌声と「死んでしまいたい」という歌詞が幼心に病床の兄と重なったのか。

兄は無事退院し中学に上がると家にレコードプレーヤー、続いてテレビが出現しクラシック、ポップスなど豊かな音楽環境で育った。

その兄は現在75歳で元気に函館で暮らし、先月中学同窓会で来福した折りに再会した。

 

思えば私の音楽性は小中学生時代に形成されジャズが上書きされて現在に至る。

昭和の時代、ラジオ、テレビ、レコードというメディアが日本の都市も田舎も津々浦々に音楽を届けてくれた恩恵を今更ながらありがたく感じる。

インターネット普及による膨大な情報量は音楽との出会いも簡易になったが、生で上質の音楽を体感する感動は昔も今も変わらず。

今週末に迫った「北村英治スーパーカルテット」福井公演が、そんなひとつであることを願う。

 

4月-5月スケジュール