歴史は繰り返す

先日共演した20代のジャズヴォーカリストがある曲のトークで、「この歌は俳優のアンディ-・ウイリアムズが歌いました」と。
ステージを終えて私が「アンディー・ウイリアムズは俳優じゃなくて歌手だよ」と言うと、「えっ!歌手ですか。動画で映画出演を観たので俳優かと。教えて頂いてありがとうございます」と。
 
私の世代なら、NHKテレビの「アンディー・ウイリアムズ・ショー」を記憶の方も多かろうが、若い方が知らないのは無理もない。
そういう私も子供の頃、ナット・キング・コールは最初から歌手だと思っていた。

小学生の頃、「L-O-V-E」や「ランブリングローズ」などがヒットしていて、シナトラやパットブーンと同じ外人流行歌手の一人だった。

高校生時代にジャズに興味を持ち、ラジオのジャズ番組でキング・コールがピアニスト出身で弾き語り名手だったことを初めて知った。
歴史は繰り返す。
 
子供の頃に観たテレビの外国ドラマや映画では、ジャズっぽい音楽が使われていて、音楽と共にしゃれた大人の世界に憧れた。
 
そんな映画のひとつ、フランク・シナトラ主演映画「ナイスガイニューヨーク」が印象に残っている。
制作年を調べると1964年とある。テレビで観たのが中学生だったのでつい4~5年前の映画だったわけか
 
ニューヨーク暮らしのプレイボーイ(シナトラ)のマンションに、郷里で親とけんかした弟がころがりこむ。
田舎育ちで真面目一方の弟は、大都会で自由奔放な暮らしの兄に驚く。
なんだかんだあって(この辺りの記憶はない)、やがて兄は一人の女性を愛しプレイボーイ返上するが、弟はかつての兄にまさるプレイボーイに、というコメディー。

全体にジャズっぽい音楽が流れていたが、 印象深いワンシーンがある。

画面の向こうからニューヨークの歩道をシナトラが歩いて来ると、ホームレス風の男とすれ違う。
後姿の男「だんな、お恵みを」、シナトラが小銭を渡して通り過ぎる、「だんな、ありがとう」と振り向く顔が、なんと、ディーン・マーティンだった

超有名スターがたったこれだけのシーンにボロ着姿で出演、なんてお洒落でリッチなジョークなのだと感心した。
こんなあんな映画の印象も私の音楽の原点のひとつ、ふたつ。