良き時代

昨日、「俺の割烹」&「俺のフレンチ・タブルタク」、掛け持ちソロ出演。

この「俺の」シリーズ店のライブは、9店舗にジャズとクラシック、1店舗スパニッシュ系。
ジャズとひとくちに言ってもその出演者のスタイルは、私のようなスタンダード弾き語りあり、クラリネットのスイングあり、バリバリのモダンジャズあり・・・、これほどバラエティーに富んだ音楽を提供するのは素晴らしい事。

私のレパートリーは、ポップスもなにもなく、スタンダードジャズと往年の映画音楽やポピュラーばかり。それを良しとして仕事を頂くことは実にありがたい。

若手時分、70年代とか80年代のジャズライブでは、ビートルズカーペンターズ、ビリージョエルなど流行ポップスのリクエストも多く、歌手や演奏家もそれに応えていた。

その時代はヒットした後も何年もリクエストなどが来たが、最近はそういうこともない。
例えば、昨年流行った「アナ雪」も僅かにリクエストが来たが、私は覚えることのないままに今は全く来ない。

これはインターネットなどによるメディアの拡散で個々人が好みに応じて音楽を楽しむことで、ヒット曲の存在感も拡散して、生演奏の場でリクエストしてまで聴きたいということが薄くなったのだろう。

それは私のような昔の曲ばかり専門の演奏家にとって良き時代に感じる。

「専門」と言ったが、演奏家として「どうしても好みがそこに行ってしまうもの」がレパートリーになっている訳で、私自身そういうポップスが嫌いなわけではない。
小学生でベンチャーズに、中高生でビートルズからハードロックに夢中になった世代で、リクエストを頂いて知っていればお送りする。

「お送りする」のは主にピアノ演奏としてで、ポップスナンバーなどは歌としての芸風に会わず自信が持てない。
自己分析すれば、歌よりもピアノの表現の幅が広い。だから、ステージでの自己紹介で常に「ピアノのついでで歌っている」と言っている。