ばくじょう

毎秋恒例仕事のひとつ、豊島区の区民ひろば高松での演奏会。
東京都心に近いが昭和な雰囲気残る路地を歩いて、お越しのお客様も70歳前後の方がほとんどのゆったりのんびり感あり。

今年は「漢字邦題の妙」とタイトルしてみた。

小学生低学年頃から兄や母のレコードで様々な洋楽に親しんだ。
「素敵な曲だな、なんていう曲かな」と見るのは邦題が頼りだったが、漢字が読めないこともあった。

例えば「慕情」、江戸幕府の「幕」と似ているから「ばくじょう」、ベートーベンの「悲愴」は「倉」似ているから「ひくら」などなど。

「慕情」を「ぼじょう」と読むのだと教えられても意味は分からず、漢字を見るとどうしても「ばくじょう」と読めてしまう、そんな思い出がある。

この読めない漢字邦題が余計に大人の格調高い音楽に感じた記憶がある。

絶妙な漢字邦題が「月光価千金」。原題"Get out and get under the moon"、「月の下に出ようよ」を見事な漢文訳、昭和初期のセンスに脱帽。

引用元と思われるのが、古代中国の漢詩、「春宵一刻値千金」。

書いたのは蘇東坡(そ・とうは)さん、凄い才人で、官僚であり文芸、土木事業、料理にも長けていて、豚の角煮「東坡肉」(トンポーロー)の由来説もある。

と、ちょっとネタバレになったけど、そんな話あんな話を交えて漢字邦題の名曲をお楽しみ頂きたいと、トーク内容をまとめ中。