お客様の中には山梨県からお越しの方もいらして、熱心に楽しんでくれた。
1回目ステージでラテンのスタンダード曲「ある恋の物語」をアレンジして演奏したら、それに触発されたか、お客様からのリクエストが「エルクンバンチェロ」。
普段滅多と演奏しないが、おおよそは分かるのでトリオで打ち合わせもなくぶっつけ本番、なんとか上手く行った。
曲に因んだ思い出をお話しした。
40年余り前、20歳そこそこ駆け出しの私、キャバレーのレギュラーバンドで演奏、ある日ショーで「金粉銀粉ショー」というのがあった。
男女2名のダンサーが、体(隠すところのみ隠した衣装)も顔も、男性は銀、女性は金に塗って踊るショーだった。
きっちりアレンジされた譜面で、踊りに合わせてテンポも曲も変化してゆく、初見に弱かった私は始まってほどなく譜面の進行を見失った。
バンマスのサックスとベースを聴いてなんとかコードを弾いていた。
踊りも佳境に入って、「エルクンバンチェロ」に入った。
曲は子供の頃から知っていたから、伴奏は弾いていたが譜面は全く読めていない。
サックスの音が突然なくなって伴奏だけになり、私「あれ、何だろう!」とその瞬間、バンマスの「ピアノだ!弾けー!!」の声。
慌ててアドリブを弾いたが、テンポが速いからわずか弾いたら再びサックスが演奏。踊りは激しさを増し演奏もスリル感を増し、私は更にパニック状態。
銀の男性ダンサーが金の女性ダンサーを高く抱え上げてスポットライト、ピカーッ!バンド♪ジャーン!♪、私「あっ、終わり?!」、一瞬遅れでジャ~ン♪。
苦い思い出話をお楽しみ頂いて、昨夜のライブも無事終了。