私のジャズ初体験は小学校卒業した春休み(1968年)、7歳上の兄の親友Sさんが、私の中学進級祝いに「マル・ウォルドロン・コンサート」に連れていってくれた。
Sさんは、当時、東京の大学ジャズ研でテナーを吹いていて帰省中のこと。
まだ開演時間まであるからと、駅前通りの大きな楽器店の地下に。
広い喫茶店の奥に別のドアがあって、そこがジャズ喫茶だった。
小さな空間だったが、大きな音でレコードが流れていて、Sさん「あっ!」と「あの人がこれから聴く人」、目線の先を見ると、マル・ウォルドロンがコーヒーを飲んで隣の人と会話していた。
Sさん小声で「今流れているレコードが、あの人の演奏」と教えてくれた。
演奏会場は「県民会館大ホール」で日本人ベーシストとドラマー(誰かは記憶ない)のトリオ。
ジャズ初体験は、1曲が長いこととマルが演奏中もずっとタバコを吸っていることが印象的だったが、何か感じたのだろう、「レフトアローン」のレコードは親に買ってもらった。
その後はロック少年を経てジャズへ、マル・ウォルドロンとは全く違うスタイルで現在に至っている。
私にボサノバやジャズを教えてくれたSさんは現在70歳、郷里にお住まいで、この夏に電話でお元気な声を聴いた。