駆け出しの頃にホテルのレギュラーバンドで演奏、メンバーは私より皆先輩ばかりだった。
中のお一人から「サケバラとか同じ曲ばかりで飽きるよな」と言われた。
「酒とバラの日々」は当時、さほど古い曲でもなくジャズとしてもポピュラーヒット曲としても一般的に知られていて、ホテルなどでは欠かせぬ曲だった。
勿論この他にもそういった曲は多かったが、この先輩は例えばで挙げたのだと思う。
20歳そこそこの私、心の中で生意気にも「それは自分の腕に飽きたんで、曲は素晴らしい」と思ったが、それは言わず適当なあいづちで返したと思う。
当時業界用語で「ハコ」と呼ばれた仕事は、毎日同じ職場に定時集合、同じ顔触れでおしきせのユニフォームを着て演奏、今思えば「飽きる」のも分かる気はする。
しかし、あれから45年近く経った今も飽きた曲はない。
およそどれだけの回数やったか分からない曲は多いが、その度に新鮮。
それは、やる度に違うジャズ的即興の妙もあれば、自分の未熟さを感じる部分もあるから。
しかも、時代を経て私のレパートリーが一般的でなくなった今、余計に新鮮に感じられるように思う。
若い頃の思い変わらずで、未熟さを少しでもアップしたいなんてことを思ったりする。
さて、本日は池袋「ばがぼんど」にソロ出演。