語ります

昭和30年代のテレビは海外ものが多かったが、西部劇「ボナンザ・カートライト兄弟」も人気だった。

ドラマで父親を演じるローン・グリーンのレコードが出て高校生の兄が買ってきた。

タイトルは「リンゴ」、小学生の私でもビートルズリンゴ・スターを連想して外人の名前だくらいは分かった。

家のテレビは白黒だったので、カラー写真のローン・グリーンが生き生きと感じ、吹き替えで観ているから「どんな声で歌うのかな」と兄弟でわくわく。

兄がプレーヤーにかける、本人の声で語りが始まった、兄「お、低い声だな!」私「英語や!」、当たり前だ。

バックに音楽が流れるが本人語り続け、時折「リンゴー」しか聞き取れず、語り続けて最後まで。

兄弟で「なんだこれ、歌じゃないのか」だった。

内容は西部史に残る無法者リンゴの話らしいが、全く意味不明だった。

(写真:カートライト兄弟と父、右から2番目ローン・グリーン)

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私が好きな映画「旅情」”Summer Time In Venice”(1955年)、主演キャサリン・ヘップバーンとロッサノ・ブラッツィ共演、旅先で出会った恋。

レコード「サマー・タイム・イン・ベニス」 には「ロッサノ・ブラッツィ唄」と印刷されていた。イントロで映画の感動がわっと蘇る、そしてあのレナート(映画の役名)の声 ”I dream of a summer time…と歌い出す、が、すぐ語り、歌うがすぐ語り、語り続けて最後まで。

歌が得意じゃなかったんだろう、ミュージカル映画「南太平洋」の歌も吹き替えだった、けど、イタリアの渋い二枚目だった。

 

二枚目と言えばフランスのアラン・ドロン、1970年代初頭に「甘いささやき」というレコードが出た。女性歌手ダリダが歌うパローレパローレパローレ~、ドロンの語りがからむ、ジェネセパセスキモア・・・、全く意味不明分だったが確かに甘いささやきだった。

 

歌と思ったら語り、他にもあっただろうが「騙り(かたり)だ」なんてクレームもなかった時代。

 

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