1995年、私が40歳の時、若手クラリネット奏者竹花くんから仕事をもらって目白の椿山荘に行った。
パーティーでの演奏とだけ聞いていたが、会場に行くとステージ両側にでかいスピーカーがあって音響スタッフが忙しく動き何やら大掛かりだ。
何だろうとステージ上に吊り下げられた看板を見たら「ダニー飯田とパラダイスキング40周年・ディナーショー」、あ、パラキンか!
今はオルディーズと呼ばれる洋楽ポップスバンド、よくテレビで観たのは小学生低学年の頃だった。
こちらの演奏はお客様入場とディナー開始30分のみ。
私が「楽しげな仕事だね」と言うと、竹花くん「そうですか?」とステージ上の看板を見上げて「これって何ですかね?」。
私よりひとまわりほど若い彼が分からないのも当然で、説明すると「へえ、そうなんですかぁ」。
こちらのリハーサル終えると舞台スタッフが竹花くんに「この譜面台、ワラっていいですか?」と。
竹花くん「え?誰が笑うんですか?」と聞き返したので、慌てて私「そうじゃなくて、片づけていいかってこと」と言うと、「あ、はい、いいです」と。
舞台専門用語は演奏家が日常的に使わない言葉もあって、私も戸惑いつつ覚えた。
本番、こちらの演奏は終了しディナー終盤にさしかかってパラキンのステージ、ゲストのキューピー(石川進)さんが歌った「煙が目に染みる」が見事だった。