帳(とばり)

昨日ブログで紹介した「青い火影のブルース」は原題が”Night Fall”、「夜のとばり」の意味だが、「青い火影」としたところが昭和らしく情景も浮かんでくる。

とばり「帳」は『カーテンのような室内を区切る物のこと』だそうで、漢字と意味から「蚊帳(かや)」とか「緞帳(どんちょう)」を連想する。

蚊帳は昨今見かけないが、昭和の夏は必需品だった。

子供にとって蚊帳の中は異次元空間で面白がって出入りして「蚊が入るでしょ!」と怒られた。

 

緞帳は演奏家にとってコンサートホールでお馴染み。

全国のホールにあって名所風景など、脇に〇〇寄贈などと刺繍されていて、裏側、つまり舞台側は「火の用心」と印字された布が貼ってあることが多い。 

25年ほど前、タレントの谷啓さんバンドである地方の高校文化鑑賞会に行った。

本番前ステージにスタンバイ、緞帳の中にいて客席は見えないが生徒のざわめき、ゴトゴトッとマイクを動かす音がして「フー、フー!」とマイクを吹く音、校長先生のあいさつらしい。

「はーい、皆さん静かにいー。えー、本日は~」谷啓さんのことやジャズのことなどお話になり

「えー、最後に、音楽というのは聴いている人と演奏者のコミュニケーションです」

さすが、良いことをおっしゃるとバンドメンバー頷く。

「ですからぁ、皆さんがしっかり拍手をするとぉ益々、良い演奏をしてくれます。バンドというのは単純ですから!」

バンド全員こけて、センターの谷さんも苦笑い。

メンバー同士「その通りだ」と言うとドラムソロと共に緞帳が上がった。