1960年代「007」のヒットでスパイブームが始まった当時は小学校低学年、7歳上の兄が買ってきた雑誌でジェームス・ボンドを知り、「007のテーマ」「ロシアより愛をこめて」のレコードを聴いてイメージを膨らませた。
007シリーズを映画館で観るのはこの少し後で、テレビシリーズ「0011ナポレオンソロ」に登場する万年筆型無線機に憧れた。
兄からもらったシャープペンシルを使いもしないのにポケットにさして外に出て、路地裏でペンに向かって「衛星通信オープンチャンネルD、こちら~」などとつぶやくかなり怪しい小学生だった。
憧れと言うのは現実とかけ離れているから膨らむもので、運動苦手な私が何一つボンドになれる要素はなかったが、そんな思いを持ったまま大人になり30歳で免許取得した時は嬉しかった。
初めての車が友人から譲り受けたホンダ・シビック、ボンドカーのアストンマーチンと“色だけ”似ていたので、仕事の帰宅時は必ず「007のテーマ」「ロシアより愛を込めて」を流した。
と言ってもカーオーディオもなく助手席に置いた小さなカセットプレーヤーのチャチイ音だったが気分はボンドだった。
中古シビックはエアコンなしで夏は辛かったが冬はエンジン熱暖房だから問題ない、はずだったが、ある日足元の温風が出なくなった。
横浜で夜11時にライブを終えて第三京浜を走行中、足は冷えて頭ばかり暖まってボーっとして危ないので暖房を切ると寒い、「007のテーマ」を流してボンドが雪のアルプスで任務中を想像したが、効果なし、実にどうも・・・情けない。
1年乗って買い替えを考えたところにバンド仲間から「車買わない?」と連絡、これが聞いてビックリ・・・。