ジャズ歌詞にCOLD(冷たい)という言葉は少ないように思うが、思い浮かぶのは往年のカントリーソング。
レジェンドと言われるハンク・ウイリアムス、有名な作品は「ジャンバラヤ」だが、マニアックな評価が高い曲は「コールドコールドハート」”Cold Cold Heart”。
中学生の時に聴いて日本語の「凍る」と語感が似ていてダブルのだから余程冷たい心だろうと思った。
歌詞は、恋人に自分の愛が理解されず「どうしたら君の冷たい冷たい心を溶かすことが出来るのか」とひたすら嘆く。
メロディーは短調で地味だが、それだけに切々と歌うハンクの泣き節に辛さが伝わって来る。
もう1曲カントリーソングで冷たいのは「リリースミー」”Release me”、リリースは「解放する」、レコードや映画などを世に発表(解放)するときも使われる。
新しい恋人がいて「もう君のことは愛してないから、ほっといてくれ」と先ほどとは真逆で、2コーラス目の歌詞が凄い。
Her lips are warm while yours are cold,
(彼女の唇は暖たたかいけど君のは冷たいんだよ)
翌朝の新聞に「この言葉が引き金となり殺人に至った」と書かれそう。
私は50年代のレイ・プライスがオリジナルと思っていたが、調べると最初の録音は1949年に作者のエディーミラーという人だった。
聴いてみると少々粗削りな歌で、Eddie”Piano” Milerとあるので歌手というよりもピアノ弾きで作曲もした人ではないか。
60年代に人気歌手エンゲルベルト・フンパーディンクの録音がヒット、レイ・プライスよりぐっと落としたバラードで憂いを含んだ深い情を感じる、これなら新聞沙汰にはならないと思う。