本日は銀座「俺のフレンチ東京」「俺のイタリアン東京」2店舗にソロ出演。
半年前、4月1日に「イタリアン東京」に出演した翌日からの仕事が全てコロナキャンセルとなって、6月からわずか一部復活している。
以前は2店舗それぞれに出演者がいて、控室で顔を合わせ会話も楽しんだが今は一人。特に寂しさは感じないが、以前に戻る日がいつか来てほしい。
冷たい10-温かさ求めて
子供の頃に家からバスで15分ほど行った海沿いの集落に祖母の姉が住んでいてよく遊びに行った。
江戸時代末期に建てられた家で、台所は右手に井戸に手動ポンプの水道、正面壁際に五右衛門風呂、左手板の間に冷蔵庫、電気でなく氷を入れて冷やしていた。
電気製品と言えば照明器具とラジオ、タンスの上に置いてあって真空管だった。
兄が持参したトランジスタラジオでビートルズが流れると、およそタンスのラジオから同じ電波が流れると思えなかった。
真空管ラジオはデカくて電源を入れてしばらく待たないと音が出ず、電力も消費して熱を発する、球切れで取り替える必要もあって、トランジスタに比べると全てデメリットに感じた。
中学生の頃だったか、ギターの上手い友人が「球(たま)は温かいけど石は冷たくて硬い」との言葉に「言われてみると」と気付かされた。
トランジスタ(石)に比べると真空管(球)の音が柔らかさと温かみがある。
その後デジタル時代になると楽器関連機器も多くなった。
カラオケでお馴染みのエコー(ディレイ)は、それまで磁気テープを使って反復効果を得る「テープエコー」が主流でちょうど家庭用プリンター程の大きさと重量だったが、デジタル化されて片手で握れるほど軽量になった。
ところがテープだと反復音が曇っていたがデジタルはどこまでもクリヤーで、それが「冷たい」からとあえてテープエコーの曇りをデジタルで再現したディレイもあった。
音や照明の技術革新には冷たいが付物のようで、LED照明は省エネで世界中普及したが、音楽の場合は今もギターアンプやオーディオマニアの真空管人気は絶えない。
人は旧来の不便さの中に宿る人間味を愛おしみ、技術発展との絶妙なバランスの中で生きている。