昭和面白話

昨日、銀座「スイング」、北村英治さんのライブ。
ベース小林真人さん、ドラム八城邦義さん、ゲストにクラリネット熊倉未佐子さん、テナーサックス&クラリネット右近 茂さん。

開演前の控室で北村さんの思い出話。

50年余り前の昭和華やかなりし頃、「北村英治クインテット」と書かれたバンド専用車をお持ちだったそうで、地方での演奏は楽器を積んでこの車が先発し、バンドメンバーは別に会場に向かったそうだ。

伊豆のホテルでのディナーショーで、前日の夜に専用車をボーヤ(*バンド専属スタッフ)が運転し先発。

東京-伊豆、今なら車で2時間ほどだが、高速がない時代でかなり時間がかかったことと思う。

若いボーヤは熱海辺りの海岸で泳いで仮眠、翌日、伊豆の道路走行中、脇の田んぼに転落し横転。

そこを北村さんの車が通りかかった。

フロントガラスは割れ、ギアーアンプは転げ出て田んぼの泥まみれだったが、ボーヤは怪我もなく、アンプを回収して車を道路に戻すとエンジンがかかった。

ボーヤは水中眼鏡をして運転し無事ホテル到着、アンプの泥を落とすと電源が入って音が出る、「あー、良かった」と。

お客様ディナーを楽しみ、演奏スタート、真空管アンプは電源入れて数分すると熱を帯びて、得も言われぬ泥臭~い匂いがプ~ンと・・・。
北村さん「まずい!(汗)」と思いつつの演奏だったが、どこからもクレームなく無事終わったそうだ。

今ならワイドショーネタの問題満載の話だが、何事もなく終わった昭和な話。

*ボーヤ
今は「ローディー」という言葉が主流。バンドのスタッフとして楽器運搬などを手伝うアルバイト。