言葉8-濃い薄い

私が中学生の頃、コメディアンのケーシー高峰さんが出したレコードの歌詞で「ナオンがベシャってる」が意味不明だったが、その後プロ演奏家になって「女がしゃべってる」だと分かった。

我々が「バンド言葉」「ジャズメン言葉」などと呼んだ符丁はかつて芸能界全般で使われていた。

そのルーツは分からないが、終戦後にジャズブームで活躍する演奏家が作曲家となり俳優となり、芸能プロダクションを設立し、テレビ創成期の放送業界も含めて大衆芸能を担ったことで業界言葉として定着したのだろう。

 昭和が終わる頃(1980年代)まで話されていたが、その後の世代が徐々に使わなくなったのだろう。

 

ジャズの流れを考えると、60~70年代はモダン偏重でスイングなどが軽んじられ、そこに抵抗を覚えた私が80年代に「ロミ&ジョーカーズ」を結成して活動した、そういうパワフルな濃さがあったが、90年代末からは偏重が消えてこれも良しあれも良しで現在に至っている。

偏重がない良い時代になったと思う一方で、お笑いでも昔は笑って済んだ言葉も差別的NGとなる昨今、業界言葉の消滅とも関連して何かが薄まった感も抱く今日この頃。