私が演奏家生活をスタートした1970年代はモダンジャズ全盛期だった。
ジャズは20世紀初頭に生まれ、30年代「スイングジャズ」ブームは世界的な人気となるが、50年代に入るとロックンロールなどポップ音楽へと流れが変わり、ジャズはより高度な音楽性を求めて進化し「モダンジャズ」はコアなファンを生んだ。
私もモダンジャズが好きでジャズピアノを始めたが、20代半ば近くに「スイングジャズ」を知って急速に傾倒。
スイングジャズは古臭く陳腐という偏重が強かった時代、若き私が目指すことに意味があるのか悩んだ、周囲の先輩からも「君は変わってるね」「そういう音楽じゃ食っていけない」と。
しかし、ベニーグッドマン、北村英治さんのレコードに聴き惚れ矢も盾もたまらぬ強い想いは悩みを押しのけ・・・
という話を若手演奏家は「そんな時代があったんですか」と皆さん驚く。
先日のFBCラジオインタビューでも「スイングジャズが軸となって様々な出会いがありました」と申し上げた。
ジャズファン以外にはスイングもモダンもどうでもよいことで、聴いて楽しいかどうか、私も演奏の瞬間はそれだけの想い。