映画と音楽8-ツィンバロン

映画「第三の男」で有名になった楽器ツィター、独特な音色はいかにもヨーロッパ、それも寒い空気を感じるのは映画ラストシーンの冬枯れた並木からか。

似たような音色で「ツィンバロン」というハンガリーの楽器があって、両手に持ったバチで打弦演奏する。

 

007シリーズ「ロシヤより愛を込めて」テーマ曲でマット・モンローが歌うバックでジャラーンと聴こえる和音、子供時分は「変わった音のピアノだ」と思ったが、多分ツィンバロンか類型楽器だろう。

やはり60年代のテレビシリーズ「スパイ大作戦」(音楽ラロ・シフリン)でミッションが架空の東側国家だとこの楽器が使われていたが、トム・クルーズのリメイク版シリーズはクレムリンでもプラハでも使われていない。

仏映画「雨の訪問者」(1970)のフランシス・レイのテーマ音楽、冒頭メロディーはチェンバロか?いや、ツィンバロンの響きのようでもある、どちらか分からないが、ミステリアスな響きも感じる楽器だ。

 

ルーツは東欧でなくイラン・ペルシャ、イランでは「サントゥール」として健在で、ヨーロッパに伝わってツィンバロン、鍵盤楽器チェンバロからピアノへと進化。

一方アジアへ伝わって中国の「揚琴」(ヤンチン)、これが江戸時代の日本に伝わったらしいが普及せず、個人的にこれら類型楽器にエキゾチズムを感じる。

(ユーチューブ「ツィンバロン」「サントゥール」「楊琴」検索でご覧になれます)

 

f:id:nemannekenarui1955:20201116045115p:plain