映画と音楽58-ニューオリンズ

昨日書いた映画「ヒットパレード」の前年制作された、映画「ニューオリンズ」(1947)、ジャズ誕生の地から世界に広まった過程を描いている。

 

1910年代、ニューオリンズに引っ越して来た上流階級のお嬢様はクラシックの声楽家で、メイドの鼻歌に興味を持ちどういう歌か訪ねると「ブルースですよ」。

このメイドをジャズ歌手ビリー・ホリデーが演じている。
お嬢様はメイドに頼んで黒人が集まる歓楽街のナイトクラブに、サッチモルイ・アームストロング)が演奏していて、ジャズに感動する。
お嬢様はヨーロッパへオペラ留学、歓楽街ストーリービルは享楽に異議を唱える団体により閉鎖、演奏場所を失ったサッチモ一行はシカゴに落ち着く。
移転先で内装工事に来た職人がピアノを弾くとこれが凄い。
この職人役はブギウギピアニストのミード・ルクス・ルイスで、シカゴ発祥の黒人音楽が世界に広まったことも織り込んでいる。
映画後半、サッチモと共にジャズは大人気となり海外公演の快進撃、お嬢様もオペラ歌手として成功し帰国しオーケストラでテーマ曲を歌う。

 

テーマ曲は「ニューオリンズを失うなんて」の邦題が多い、原題'Do You Know What It Means To Miss New Orleans'。

20代半ばに曲を覚えてミス・ニューオリンズのミスが女性の敬称かと思ったが違った。
歌詞は「ニューオリンズの恋しさが分かるかい、6月のモクレンも月夜の入江も思い出す、でも、そこにいる君のことがもっと恋しい」。
スタンダードとしてジャズライブなどで多く歌われ演奏されている。

 

史実によると1917年の大歓楽街ストーリービル閉鎖は、第一次世界大戦中にニューオリンズに陸海軍基地があり、兵士の売春関連問題が理由だったらしいが、結果、ジャズがアメリカ全国にそして世界に広まった。