映画と音楽79-ジャズフェス

このシリーズに以前登場した映画「二人でお茶を」のテーマ曲"Tea For Two"はとても和む可愛い曲だが、これを超アップテンポでジャズ的スリル満点に歌ったのがアニタ・オデイ、映画「真夏の夜のジャズ」"Jazz On A Summer's Day"に記録されている。
1958年ニューポート・ジャズフェスティバルのドキュメントで、器楽的要素の強い歌唱は何度観ても舌を巻く凄まじさ。

とても同じ曲と思えないほどの違い、若き頃ジャズに魅了されたひとつ。

 

中盤に登場するチャック・ベリーはロックンロールの創始者の一人、多分バンドごとでなく一人呼ばれて、ジャズ演奏家が即興的に共演しているように感じる。

ブルースという太い幹からジャズやロックンロールが枝分かれしたことを感じるシーン。

 

ルイ・アームストロングトロンボーンのジャック・ティーガーデンと歌うホギー・カーマイケルの「ロッキンチェア」。
老いた父がロッキンチェアに揺られて、息子に「ジン(酒)をとってくれ、天国のお召しも近づいた」、ジャックが父親役、サッチモが息子役で絶妙な掛け合い。

 

ゴスペルシンガーのマヘリア・ジャクソン、私が高校時代に来日しNHKテレビでスタジオ録画を観た。調べたらこの映画の13年後で当時はゴスペルを黒人霊歌と呼んでいた。
全く知らなかった歌手に聴き入り、テロップでつい先日亡くなったことを知ると知らずの内に涙が出た。

 

これらジャズ、ゴスペル、ロックンロールなどが、60年代に入るとそれぞれ独自の方向へと発展、この映画が分岐直前の記録に感じる。