小学生の頃アンディー・ウイリアムスの「酒とバラの日々」シングル盤があり、ピンク色の活字と歌手の穏やかな顔から、甘く幸せな日々を送る大人の印象を抱いた。
中学時代ラジオで聴いたオスカー・ピーターソンの演奏は、バラードがエネルギッシュに変身してまぶしいほど明るくハッピーだった。
この映画も酒とバラに囲まれて君といつまでもに違いないと思った。
20歳過ぎにテレビ映画を観て驚いた。
「酒とバラの日々」"The Days Of Wine And Roses"(1962)、
主人公(ジャック・レモン)と妻(リー・レミック)の幸せな新婚生活だったが、過度の飲酒が影響し夫は地方出張が増え、妻は寂しさに昼間から泥酔して失火騒ぎ。
禁酒を誓った二人は父親の園芸業を手伝い日が過ぎ、嵐の夜に自ら隠したボトルを探し鉢植えを荒らして見つけ歓喜して飲む、壮絶なシーンだった。
ジャック・レモンは「お熱いのがお好き」「アパートの鍵貸します」などコミカルなイメージがあるだけにシリアスな演技に凄みを感じた。
二人が別れるラストシーンに流れるコーラスのテーマ曲が寂しい。
〽酒とバラの日々、子供のように笑いながら走り去った、草原を通って向かったドアに二度と戻れないと書いてある・・・
ヘンリー・マンシーニ作曲、ジョニー・マーサー作詞、タイトルの"The Days Of Wine And Roses"は古典詩の引用で元々過去の栄華を偲ぶフレーズ。
同作家の「ムーンリバー」「シャレード」に比べると分かり易い歌詞だが、草原にドアのシュールな風景はさすが。