ピアニスト駆け出しの1970年代半ば、お客様は40~50代の働き盛りで昭和20年代後半のジャズブームに青春を過ごされてジャズと流行歌が一体化した世代。
多かったリクエスト「センチメンタルジャーニー」「アゲイン」「お久しぶりね」「ビコーズオブユー」「モナリサ」他多数。
私が生まれる少し前のヒット曲ばかり、知って弾ければ大いに喜ばれ「若いのによく知ったね、ありがとう」とピアノ脇にそっと心付けを置いてお帰りに、ああ、いいお客様だと。
知らなくて弾けないと悔しい、「今度覚えといてね」の言葉にやる気頂くことは多かったが、中には「プロなのに知らないのかい」と若造見下し罵倒ニュアンス。
そうなると「すみません」と言いつつも心で「そんな曲知るもんかい」と抵抗覚えていやになった曲もある、けど、先輩と共演でやるから覚えた。
曲に罪はない、いやになった曲も20代後半になると「やはり良い」と愛おしさに、不愛想でやな奴と思っていたのが親友になったような。
時は流れ、あの頃のリクエストはほぼ皆無の今、残さないとやらないとの思い。