電話

私が小学生時代は電話のない一般家庭が多く我家もそうだった。
必要な時は電話のある近所のお宅で借りたり、そこに連絡が来るとわざわざ呼びに来てくれた。
 
家に電話が登場したのは中学に上がった年で、すごく嬉しかった。
が、それからたった5年ほど後、東京に出てからは再び電話のない生活となった。
 
40年前、ホテルの仕事でプロ演奏家としての生活がスタートしたが、当時は東京都北区の四畳半一間のアパート住まいで電話はなかった。
 
当時は毎日同じ場所にレギュラーとして通う「ハコ」と呼ばれる仕事だったので電話がなくても困ることはなかった。
 
幸い近くに兄が住んでいたので、そこに連絡をもらったこともあったと思うが、電話も名刺も持っていなかった。
 
当時、電話は債券がどうとかで7~8万、大卒の初任給が飛ぶほど高価だった。
ギャラで購入出来ないこともなかったが、「ま、その内に」が3年ほど続いた。
 
とはいえ、20歳そこそこの若者、「ハコ」仕事の合間にライブをとったり、友達と会ったりと連絡の必要はあったはずだが、一方的にこちらからの連絡でなんとかなっていたのだろう。
 
小学生ですら携帯電話を持つ今からすると、随分とのんびりとした時代だった。
 
このブログに書いた(今年3月30日だった)が、20代のミュージシャンから「メールがない時代はどのように仕事の連絡をしていたのですか」との質問に、「電話」と答えたが、それすらなかった世界などもはや想像出来ないかもしれない。

さて、本日は水森亜土さんと、上野「アリエス」、高浜和英トリオで出演。