言葉のルーツ

昨日のブログに、中国語で「福井県」「福建省」の発音を間違えた話を書いたが、この二つの地には歴史的関係がある。
 
福井県名刹永平寺の開祖道元禅師が、中国で修行したのが現在の福建省だった。
 
鎌倉時代に京都に生まれた道元さんは仏門に入り、20代前半に宋(中国)に渡り天童寺で修業。
帰国して新しい仏教スタイルを提唱したが従来の宗派から弾圧を受けた。
そこで、道元ファンで越前(福井)の官職にあった人の招きで、永平寺を創建した。
 
テレビ番組で知ったことだが、天童寺は福建省の港、寧波(ねいは)から内陸に行った所に現存する。
 
以前、東京で出会った中国人留学生が寧波市出身だったのでその話をしたが、残念ながら天童寺のことを知らなかったので、地元では永平寺ほど有名ではないのかもしれない。
 
あと、福建省と言えば「ウーロン茶」だが、元々上海でも北京でも知られていない地域的なお茶だった。
それを、1980年頃に日本のサントリーが中国で商品化して、中国国内そして日本でも知られる存在となった。
 
以前、日本語が大変流暢な福建省出身の方に伺った話が大いに興味深かった。
この方が北京の大学で日本語を学び始めた時に、福建方言と酷似した発音が多いことに驚いたそうだ。
 
例えば「電話=デンワ」「我=ガ」「家=カ」「世界=セーカイ」「福建=ホッケン」他、1~10の数の発音などなど。

中国語標準語では全く違う発音なのに、日本語とは酷似している単語が多い。
この不思議を先生に問うと、「かつて中国文化の中心は南部で、福建辺りの発音が日本に伝わって“音読み”として定着した」のだそうだ。
 
日本語のみならず、「日本」は「ジポン」で「茶」は「テェ」と聞いた時には、英語の「ジャパン」や「ティー」に至るルーツに辿りついたような小さな興奮を覚えた。

若手の頃、先輩演奏家が「リクエストで"Tea for two"を、テーフォーツーって言うお客がいる」と言っていたが、言葉のルーツを知れば笑い話でもない・・・かな?

さて本日は、上野「アリエス」、水森亜土さんとトリオで月例ライブ。

まあ、昨今、テーフォーツーというお客様もお目にかからないけど。