「芸事」シリーズ最終に書いた「先生」の中国語発音「シエンション」を知った時、かつての福井方言「シェンシェー」と似ていて面白く感じた。
他にもお金の中国語「銭」(チェン)が福井方言「ジェン」、「新鮮」はどちらも「シンシェン」。
郷里方言を例に挙げたが「シェ・ジェ」発音は西日本全域だったようだ。
大阪でも80年代のバブル期に吉本経営のディスコが「デッセジェニー」、「銭でっせ」(ジェニでっせ)を逆さまにしたジョークだった。
多分「シェ、ジェ」発音が関東などになかったのだろう、標準語からすると「訛る」ということで西日本も「せ・ぜ」に変化していった。
この変化を勝手に「せ・ぜ化」と造語させて頂くと、郷里福井では昭和30年代から始まっていたと思う。
当時中高年は「シェ、ジェ」率が高かったが、子供や若者に少なくなっていたのはテレビ普及の影響だろうか。
60年代半ばのテレビ人気シリーズ「0011ナポレオンソロ」が映画化され家族に連れて行ってもらった。
テレビの吹き替えでしか知らないから英語でどんな声でしゃべるのだろうとわくわく、ブザーが鳴って照明が暗くなりいよいよ、アナウンスのおじさん声が流れた。
「ただいまより“ジェロジェロ”イチイチ・ナポレオンソロの上映を開始いたします」
その途端に客席に失笑と「ジェロジェロ!」のささやきが広がったのをよく覚えていて、既に「せ・ぜ化」が一般化していたのだろう。
方言のみならず外来語も「せ・ぜ化」されて、英語“Jelly”がゼリー、”Angel”がエンゼル、”General manager”はゼネラルマネジャーなど、もし西日本言葉が標準語になっていたらなんて思ったりする。
新たに「言葉」シリーズ開始しましたが、すみません、明日明後日お休みして次回更新は8日の予定ですので、またお読み頂ければ幸いです。