ブギウギブーム

先日グレンミラーナンバー「チャタヌガーチューチュー」のことをブログに書いたが、この歌に"Eight to the bar"というフレーズが出て来る。

歌詞を覚えた時に、「長距離列車で8時にバーで一杯か、楽しい旅の歌だなぁ」と思ったことが今となっては恥ずかしい。

このバーは楽譜の「1小節」で直訳すると「1小節に8つ」で、8ビートのことだ。

「8(エイト)ビート」と言えばロックなどの基本リズムを意味するので訳としては迷うが、この時代はブギウギピアノの左手パターンを意味している。

ブギウギは1920年代のシカゴに住む黒人のアマチュアピアニストから生まれたと言われ、その後ジャズと相まってブームとなった。

ジャズは1小節にブン・ブン・ブン・ブンと4つ刻むが、ブギウギはブンに「か」がついて、ブンか・ブンか・ブンか・ブンかと8つ、その細かく忙しいリズムが当時最も刺激的だったのだろう。

1940年、アンドリュースシスターズのヒット曲"Beat Me Daddy. Eight To The Bar"では、♪ブギーピアノの8ビート(eight to the bar)で大盛り上がり♪と歌われている。

作曲に携わった一人のレイ・マッキンレイはグレンミラー楽団のドラマーでもあり、翌1941年にその楽団の「チャタヌガーチューチュー」が大ヒットしている。

このブームは海を越えて、終戦直後の日本でも「東京ブギウギ」なんてのが流行った。

ジャズがブギウギと相まった要素と、カントリー音楽ではハンク・ウイリアムスなどがブルースも取り入れた要素、これらが融合して50年代にロックンロール誕生の経緯がよく分かる。