ノクターン

一昨日、「俺の」出演の休憩時間、控室に系列店舗出演のピアニストが3人居合わせた。
Kさんはクラシック演奏家で30代、Oさんはジャズで40代、そして私。
 
Kショパンノクターンのジャズバージョンってありますか?」
O「僕はジャズアレンジでやってますよ」
K「お客様のリクエストで映画とか何とか、分からないから原曲を弾いたんです」
O「僕は自分のジャズアレンジだけど、映画って意味は分からないなぁ?」
私「あぁ、それは多分『愛情物語』の『トゥーラブアゲイン』のことだね」
お二人「え、それ何ですか?」
 
“そうか、ノクターン=トゥーラブアゲインが分からない時代なのか”と悟った私、お二人に簡単に説明した。
 
1956年の映画「愛情物語」は、1940年代に活躍した実在のピアニスト、エディー・ジューチンの物語でテーマ曲がショパンの有名な「ノクターン」をアレンジした「トゥーラブアゲイン」”To Love Again”
 
タイロン・パワーが主演し、ピアノ演奏をカーメン・キャバレロが吹き替えた。
 
エディー・ジューチンは「スイートミュージック」と呼ばれたピアニストで、演奏曲はジャズと共通しているが、多分にクラシック的表現で甘美な味わいが特徴。
 
「スイート」或いは「ラウンジミュージック」「シャンペンミュージック」「カクテルピアノ」などと呼ばれたが、その甘美さ故にコアなジャズファンと演奏家からは揶揄も込められていた。
 
私が若手の頃、ホテルなどでこういう雰囲気の演奏が相応しいとなると、バンドリーダーが我々に「シャンペンで」と告げて、それ風に演奏することがあった。

こういう音楽が今の若い世代にどう聴こえるか分からないが、小出しにやってみよう。