ダンナ

北村英治さんの話しで、太平洋戦争に入る前、ルーズベルト大統領の誕生日のお祝いに、ラジオの短波放送で日本から「さくらさくら」の子供の合唱を贈ったところ、米国からお返しにベニー・グッドマン・カルテットの「ダイナ」を放送してきたそうだ。

北村さんはN.H.Kに保存されている資料で知ったそうだが、「流暢な日本語で、エノケンさんで有名な『ダイナ』って紹介している、ディック・ミネじゃないのが面白い」と。

「ダイナ」"Dinah"は、1925年の米国曲で、日本の最初の録音は1934年(昭和9年)に中野忠晴という人、その同じ年にディック・ミネさんが録音して大ヒットとなったらしい。

エノケン榎本健一)は1936年(昭和11年)に録音、ディック盤はオリジナルの日本語歌詞で正統的ラブソング、対してエノケンは「ダイナ」を「ダンナ」ともじったパロディー歌詞。

”ダンナ、飲ませて頂戴な、コップならなお結構・・・、つねって頂戴な、けとばして頂戴な”。

太鼓持ちがゴチにありつこうと旦那の言うがままによいしょ、結果、大変な目にあうのは落語に多い。

長年エノケンのオリジナルだと思っていたが、最近になってサトウハチロー作詞と知った。
童謡「小さい秋みつけた」でも有名な詩人が、こんなおふざけ精神があったとは、多分サトウ先生も落語好きだったのかも。