多分この映画の為に書かれた曲かと思うが、スタンダード曲「ドリーム」にも似た、おやすみ前に聴きたいような甘い小唄だ。
若き人妻ローズ(モンロー)は、かなり年上の夫(ジョセフ・コットン)とナイアガラの貸コテージに滞在しており、浮気相手と夫殺人を企てる。
計画実行の当日、「カリヨン鐘楼」から「キス」が流れるのが成功の合図で、そのメロディーを聴いたローズは不敵な笑みをうかべるが・・・、という怖いお話。
「カリヨン」というのは、音階別に調整した複数の鐘で音楽を奏でる装置のことで、世界中にあるそうだ。
映画では毎日リクエストを受けて鐘楼からメローディーを流すとなっているが、当時(1953年)実際に行われていたのかは知らず、今は多分ないだろう。
映画で、貸コテージの中庭で滞在客たちがパーティーのシーンで、レコードをかけて若者がダンスする曲がジャズのセッションナンバー「レスターリップスイン」。
そこに鮮やかなピンクの衣装で登場したローズ(モンロー)が、手にしたレコードをかけると「キス」が流れる、とても印象的なシーン。
甘くスローなメロディーが怖いストーリーとからんで、映画に重要な曲となっている。
現在もこの「カリヨン鐘楼」(Carillon Bell Tower)と、撮影でモンローが宿泊したクラウンプラザホテルがそのまま残っていた。
中央のカリヨン鐘楼、左端の建物がクラウンプラザホテル