祖母と料理

昨日は休みで、家内も次男も出ていたので夕飯にラム(仔羊)ステーキを食した。スーパーの安売りにしては美味かった。
羊は家族で私以外食べないし、好物というほどでもなくごくたまだが、子供の頃に祖母が料理してくれたことを思い出して懐かしい。
 
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祖母は明治時代の横浜に生まれ、嫁に行った先が米国在住の日本人コック(祖父)で8年間滞在した。
祖父は私が生まれる前に亡くなったが、祖母は料理上手で和食の他に、鶏がらのスープやフライパンを使ったローストポーク(コールミートと言ってた)など、たまに羊も料理してくれた。

裕福でもないごく一般の家庭だったので、よく「天火(オーブン)があればもっといろんな料理が出来るんだけどね」と言ってた。今と違って食材も調味料も限られていたと思う。
 
その祖母に、西部劇に登場する豆料理が実に美味そうで、あれは何?と聞くと「あれはベーキビーンズだよ」と教えてくれたが、料理してくれたことはなく興味だけがあった。
 
18歳で上京して間もない頃、何の用があったか青山を歩いていて通り沿いにスーパーがあった。
紀伊国屋」という和風な店名にしては何か洒落てるなあとぶらっと入った。
高級スーパーとして有名なことなど何も知らず、輸入食品が珍しく、外人さん(白人の女性)の客がいて、レジが2階、地方出身の若者には別世界で何かわくわくした。
 
買うでもなくただ面白く観ていたが、缶詰売り場で“BAKED BEANS”という文字を目にして「ばあちゃんが言ってたのはこれだ!」と、衝動的に2缶を手に取って買った。
 
英国ハインツ社製、BAKED BEANS、カナで書けばベークトビーンズだが、祖母の言う“ベーキビーンズ”は耳で覚えたネイティブ発音だったのだろう。
 
祖母が懐かしがってさぞ喜ぶだろうと帰省の折に持ち帰ったが、「ああ、これかい」というだけで大いに期待外れ。豆をトマトソースで煮たシンプルな料理、祖母はさほど好きでもなかったのか、結局ほとんど自分で食べた。
 
その少し後に国産缶詰で「ポーク&ビーンズ」として販売されて普通のスーパーでも買えるようになり、よく食べた時期があった。
北村英治さんから手軽なレシピを教わって家で作ったこともあったが、ラム同様私以外は誰も食べないのでここしばらく御無沙汰している。

青山「紀伊国屋」、今ではすっかり様変わりして店舗は地下になり、1階には「俺のフレンチ・イタリアン AOYAMA」があって時折出演している。
本日は系列店、銀座「俺のやきとり」にトリオ(酒井一郎B、八城邦義Dr)に出演。